脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
- 脂肪肝とは?
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とは?
- NAFLD・NASHの原因
- NAFLD・NASHの症状
- NAFLD・NASHの検査
- NAFLD・NASHの治療
- NAFLD・NASHの疫学
脂肪肝とは?
脂肪肝とは肝臓に脂肪が多くたまった状態をいいます。
脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性の脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とは?
お酒の飲み過ぎは脂肪肝にとどまらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られていますが、お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも同じように肝臓の病気が進行してしまうことがあります。
このように非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝臓病のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といいます。
NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFLといいます。
しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、肝硬変に進行したり、なかには肝がんを発症したりすることもあります。
この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病のことを「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」といいます。
NAFLD・NASHの原因
アルコールを除く様々な原因で起こる脂肪肝の総称で、その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています。
NAFLD・NASHの症状
肝臓はよく“沈黙の臓器”といわれるように、多少の負担がかかってもすぐには症状があらわれず、脂肪肝では自覚症状は何もない人がほとんどです。
NASHが肝硬変に進行すると、黄疸や足のむくみ、腹水がたまることによる腹部の膨満感などがあらわれることがあります。
NAFLD・NASHの検査
NAFLDは、非アルコール性で超音波検査やCT検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば、診断することができます。
一方、NASHは肝臓の組織を調べる肝生検をしないと確実に診断することができません。
NAFLD・NASHの治療
食事療法、運動療法などで生活習慣を改善することによって、背景にある肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することです。
NASHの患者さんで肥満がある場合には、体重の7%を目標に減量し、徐々に標準体重を目指すことが勧められます。
NASHは放置すると肝硬変に進行したり肝がんを発症したりする危険があるので、初期の段階から積極的に治療を行うことが大切です。
NAFLD・NASHの疫学
肥満の人やメタボリックシンドロームの患者さんの増加に伴って患者数は増えており、NAFLDの有病率は日本では9~30%、全国で1,000万人以上の患者さんがいると考えられています(NASHの有病率は3~5%と推定されています)。
メタボリックシンドロームがあるとNAFLDやNASHを発症しやすく、とくに肥満はNAFLDやNASHの強い危険因子であり、高血糖や脂質異常も主要な危険因子です。