胆のう結石、胆嚢炎
胆のう結石とは?
胆のうや胆管に石ができて、痛みなど様々な症状を引き起こす病気の総称です。
結石の存在する部位により、胆のう結石、総胆管結石、肝内胆管結石と呼ばれます。
胆のう結石の原因
胆のうは胆汁を一時的に溜めておくところで、胆汁を溜め込んだり濃く濃縮する働きがあります。胆汁の成分は、ビリルビン、コレステロール、胆汁酸を中心とし、濃縮される過程で、胆汁成分の偏りが生じ、細菌感染により成分が分解されることにより、その成分が結晶となり石となります。
胆のう結石、胆嚢炎の症状
無症状のことも多いですが、最も多い自覚症状は右季肋部痛です。右の肋骨の下あたりに差し込むような痛みを感じます。痛み以外にも、吐き気や嘔吐などもしばしば伴います。
疼痛発作は、脂肪の多い食事を摂った後や、食べ過ぎたに起きやすいという特徴があります。
胆のう結石症の症状は、結石そのものによる機械的な痛みの他、2次的に引き起こされる胆汁のうっ滞や細菌感染による炎症、黄疸、肝障害などがあります。
胆のう結石、胆嚢炎の検査
血液検査:炎症所見、肝・胆道系酵素の上昇などを認めます
画像検査:最も標準的な方法が超音波(エコー)検査で、胆のう結石や肝内結石はほぼ確実に描出できます。
胆のう結石、胆嚢炎の治療
① 外科手術
外科手術が根治手術として第一選択です。腹腔鏡下手術と開腹手術があります。
② 胆汁酸溶解療法
内服薬で徐々に胆石の成分を融解する方法です。
ある種の石には有効ですが、石が溶解する割合は数%以下と、あまり有効な治療では
ありません。また、石灰化など固まった結石には効果は望めません。しかも、中止すると再発するという問題があります。
③ 体外衝撃波粉砕療法(ESWL)
体外より衝撃波を石に当てることにより結石を粉砕し、結石を除去する方法ですが、すぐに再発することや、膵炎などの重篤な合併症を起こすこともあり、現在はほとんど行われていません。
④ 内視鏡的乳頭括約筋切開術
胃カメラを十二指腸の乳頭部まで挿入し、乳頭を切開し、拡張した後に結石を除去する方法で、胆管結石の治療に用いられます。
症状のない胆石症(無症候胆石)はどうする?
基本的には無症状の胆石は経過観察と定期的フォローアップでよいとされています。
一方で、無症候性でも手術されるケースもあります。
無症状胆石はガイドライン(2016年)では、毎年3.5%に症状が発現し年間1~3%に重篤な症状を示すとされています。
1.無症候性胆石に対する手術を勧める意見の根拠
- 将来の発症率(20~30%/約10年)と高齢化に伴う発症時のリスク
- 膵炎、総胆管結石、閉塞性胆管炎等の重症化の危険性
- 低侵襲手術として腹腔鏡下胆嚢的手術の確立と高い安全性
- 急性発症時の社会的な問題(海外出張、業務や介護等)